レンズ越しの君へ

リビングに入ると、両親がソファーに座っていた。


あたし達が来る事は嵐から聞かされていたのか、今日はこの間みたいに驚いた様子も無い。


「座りなさい……」


程なくして、父が静かに言った。


あたしは黙ったまま、頭を下げた廉と一緒にソファーに座った。


その様子を見ていた嵐も、あたしの隣にドサッと腰を下ろした。


この間と同じように、あたしの両側に廉と嵐、正面には両親が座っている。


あたしは、どう切り出せばいいのかわからなくて…


誰かが、この沈黙を破ってくれるのを待っていた。


すると…


「すまなかった……」


意外な事に、最初に沈黙を破ったのは父だった。