レンズ越しの君へ

「無理だもん……」


頑なに否定するあたしの頭を、廉が優しく撫でた。


「お前はマイナス思考なんだよ。俺の言う事、ちょっとくらい信用しろよな……」


「何回行っても、無理かもしれないじゃない……」


廉は、それでも否定し続けるあたしの体をゆっくりと離し、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめながら優しい笑みを浮かべた。


「家族なんだから、ちゃんとわかり合える」


そう言った彼が、再びシートベルトを着けて車を出した。


“綺麗事”だよ……


あたしがそう言えなかったのは、廉の事が好きだからなのかもしれない。


それとも、ほんの少しだけ心が軽くなったから……?


あたしはそんな事を考えながら、窓の外を静かに見つめていた。