レンズ越しの君へ

「ねぇ……」


「ん?」


運転中の廉に声を掛けると、彼は前を向いたまま返事をした。


「……何回行っても、許して貰えなかったらどうするの?」


「だったら、許して貰えるまで行くっつーの!」


廉の中には、“ずっと許して貰えない”って言う不安はないのかな……?


あの両親なら、一生許してくれないような気がする。


それ以前に、あたしの気持ちなんて絶対にわかってくれない。


子育てって、恐い。


子供の頃に親に埋め込まれた事がどんなに理不尽だったとしても、そのうち自分の中でそれが普通になってしまうから…。


あたしが両親とわかり合えない事が、“普通”になってしまっているように…。