レンズ越しの君へ

翌日、家を出る前に嵐に電話を掛けた。


「今から行くね……」


「おう!っつーか、澪!何か元気なくね?」


重い口を開くと、嵐が心配そうに訊いた。


「だって……」


「俺も応援してるんだし、情けない声出すなよ!」


「うん……」


嵐に励まされて、戸惑いながらも小さく返事をした。


「っつーか、廉さんがいるんだから大丈夫だって♪」


明るく言った嵐の言葉に、あたしもすごく共感出来たけど…


それくらいで、簡単に消えるような不安じゃない。


あたしは、嵐に曖昧に返事をしてから電話を切った。


そして、不安な気持ちのまま廉と一緒に家を出た。