レンズ越しの君へ

夕食を済ませてお風呂に入っていると、後から廉も入って来た。


彼は湯舟に浸かっているあたしを見ながら、口を開いた。


「洗ってやろうか?」


意地悪な笑みを浮かべた廉に、首を横に振った。


「もう洗ったもん」


「じゃあ、髪洗って」


「うん」


あたしは、廉の髪を洗うのがすごく好き。


「気持ちイイ」


彼が、必ずそう言ってくれるから…。


あたしが声を上げて笑うと、廉は怪訝そうな表情をした。


「何だよ?」


「廉が『気持ちイイ』って言ってくれるのが、嬉しいの♪」


廉はクスクスと笑うあたしを横目にシャワーを出して、シャンプーを綺麗に洗い流した。