レンズ越しの君へ

「澪、番号とメアド教えて」


一輝は言いながら、携帯を取り出した。


「えっ……?あの……困ります……」


控えめに断りながらも、首をしっかりと横に振った。


「どうして?」


「どうして、って……」


一輝と仲良くするつもりは無いから、答える事が出来ない。


それ以前に、さっきの出来事が気になっていたあたしは、廉をチラッと見た。


「帰るぞ」


彼はそう言うと、あたしの手を掴んだ。


だけど…


「イイじゃん!」


明るく笑った一輝が、廉から奪い取るかのようにあたしの肩を抱き寄せた。


「やめて下さいっ……!」


あたしは一輝の手を払い退け、慌てて廉の腕にしがみついた。