レンズ越しの君へ

「あたしの事は何か言ってた……?」


家出をして以来、両親と連絡を取る事も会う事もしていないあたしは、ずっと気になっていた事を尋ねた。


「最近は……あんまり……」


嵐の言葉で悲しみを帯びた胸の奥が、ズキズキと痛み出した。


別に、両親に何かを期待していた訳じゃない。


あの人達には、嵐だけがいればいい。


自分(アタシ)は、必要無い。


昔からずっとそう感じていたからこそ、勝手に実家を飛び出したのに…


あたしの事を気にしていない両親に、益々幻滅してしまった。


「前にも言ったけど……親父も母さんも、ずっと澪の事探してたよ……」


「うん……」


嵐が気を遣かってくれているのはわかったけど、小さく頷く事しか出来なかった。