レンズ越しの君へ

いつまでも平行線のままの、話し合い。


このままの状態が続いて皆が出勤して来たら、この話は先延ばしになってまたはぐらかされてしまう。


それをわかっていたからこそ、すごく焦っていた。


「あたしは……今付き合ってる人と、これからも一緒にいたいんです!廉を……彼を……失いたくないっ……!」


ワガママな言い分……?


あたしは、身勝手なのかもしれない。


「それは何度も聞いたからわかってるよ!」


「じゃあっ……!」


「この店にはお前が必要だ!」


あたしの言葉を遮った店長が、真剣な眼差しを見せた。


「それはないんじゃないの?」


その直後に後ろから聞こえて来た声に、あたしは慌てて振り返った。