レンズ越しの君へ

しばらくするとやっと落ち着いて、涙を拭ってから更衣室に戻った。


店は静かで、もうほとんど従業員も残っていない。


その静けさが、またあたしの心を責める。


それに負けないように唇を噛み締め、更衣室のドアをゆっくりと開けた。


「おかえり♪」


すると、部屋の中から綾の優しい声が飛んで来た。


「綾……」


「大丈夫?吐いた?」


「うん……。でも、大丈夫……。ねぇ、もしかして待っててくれたの……?」


泣きそうな声で尋ねると、綾が笑顔で口を開いた。


「うん!ねぇ、ちょっと付き合ってよ♪明日は休みなんだし、イイでしょ!?」


「え?あ、うん……」


あたしは、明るく言った綾に少しだけ圧倒されてしまい、つい小さく頷いていた。


彼女はニコッと微笑み、あたしを促して更衣室を出た。