レンズ越しの君へ

信号待ちの時、頭の中にふと浮かんだ疑問を口にした。


「ねぇ、どこに行くの?」


「さぁな」


「その顔……何か企んでるでしょ?」


廉は何かを企んでいるみたいだけど、ただ意味深な笑みを見せるだけ。


これ以上訊いても、たぶん彼は何も答えてくれない。


「着くまでのお楽しみ?」


「そういう事」


「ふ〜ん……」


あたしは仕方なく、目的地に着くまで大人しくしている事にした。


窓から見える景色は、少しずつ加速しながら流れていく。


廉の運転は、何故か心地好さを感じさせてくれる。


だから、あたしはこのポジションがすごく好き。


幸せな気持ちに浸りながら廉の横顔を見つめてみたり、窓の外を眺めたりしていたけど…


そのうちウトウトし始めて、いつの間にか眠ってしまっていた。