レンズ越しの君へ

全ての料理をペロリと平らげて、廉と一緒にレストランを出た。


「ふぅ〜……。お腹いっぱい♪ご馳走様でした」


「あぁ」


エレベーターの中で満足げに微笑むと、廉はあたしの頭を優しく撫でた。


「なぁに?」


「いや、別に……」


「フフッ」


いつもよりも優しい廉に、思わず笑い声が漏れてしまう。


「何笑ってるんだよ?」


「いや、別に……」


「おい!」


廉の真似をしたあたしを見て、彼が苦虫を噛み潰したように眉を潜めている。


あたしはクスクスと笑いながら車に乗って、シートベルトを締めた。


運転席に座った廉は、気を取り直したように苦笑してエンジンを掛けた。


「どこ行きたい?」


「う〜ん……」


迷っているあたしを見兼ねたのか、程なくして廉は車を出した。