レンズ越しの君へ

「じゃあ……元カノの事も聞いたんだ……」


「何の事っ!?」


太一の言葉を聞いた瞬間、あたしは思わず身を乗り出してしまった。


「えっ……!?ユイちゃんは聞いてないんだ……」


小さく頷くと、彼が気まずそうに視線を逸らした。


「ごめん……。今の忘れて……」


太一はそう言ったけど、忘れられる訳が無い。


あたしは、視線を戻した彼の瞳を真っ直ぐ見つめながら口を開いた。


「廉の事……教えて……」


「でも……」


廉に対してずっと不安だったのは、名前の事だけじゃない。


何度頼んでも、あたしの写真を撮ってくれない事も不思議で、いつの間にかそれが不安に変わっていた。


だから、その原因となっている理由があるかもしれない廉の過去を、少しでも知りたかった。


「お願い……。廉に何があったのか教えて……」