夕闇をこえる。
恭平の預かっていた記憶の半分が唯の元に戻ると、そこには安息が訪れた。
思い出を共有できる喜びも、できない悲しみも、全ての記憶を結び直して。
じきに一周を終えた、この重く暗い、小さな箱の扉が開く。
そしたらきっと、目に映るのはさっきまでとは違った世界。
だから、もう忘れないで。
同じものや景色を見た、その記憶を消してしまわないで。
そう願う。
もしもまた同じことが起きたとしても、何度でも君を愛そう。
何度でも、手をとり歩きだそう。
閉園を告げるワルツが、2人には少しだけ明るく響いてくるように思えた。
新しい記憶の始まりに―。
<おわり>

