「アラ、帰っちゃうの?」
「!?アリス」
慌ててイオンが振り向くと、噴水の淵に立っているアリスがいた。
頭には白に黒のリボンが巻かれたシルクハットを被っていた。
「せっかくアリスのマジックショーが始まるのに・・・」
残念そうに手に持つ杖を顎にあてた。
それは紫麻の時に使ったのと同じ物だった。
「マジックショーって?」
エインセルがワクワクとしながらアリスに聞いた。
アリスはニッと笑い杖をかかげた。
「One!」
アリスがいうと噴水の明かりが今度は虹色に光り
「Two!」
ポウ、と小さな灯りが薔薇から灯り始めた。
「Threeー!!」
パアァァッ!!
「ぬあっ!?」
「わあっ」
「・・・へぇ」
言った瞬間、周りに咲き乱れていた薔薇が、赤、青、橙、紫・・・様々な色に輝いた。
「遅れたけど、エインセルへのクリスマスプレゼントよ」
「〜っ、アリガト――ッ!!!」
アリスが微笑んでいうとエインセルは幸せを噛み締めイオンの肩から飛び、満面の笑みでアリスに抱き着いた。
「それから聖夜にはアレ」
「アレ?」
聖夜がアリスの視線の先をみると、そこには光りの中佇む明るいブラウンの髪をツインテールにした人が。
視線に気付いた少女がこちらを赤茶の色をした瞳で見た。
「お、兄ちゃん?」
「楓莉・・・?」
驚愕に目を見開きアリスをみると、アリスはたいしたことはしていないという表情をした。
「貴方へのクリスマスプレゼントよ。時間はホタルローズが光っている間」
さっさと行きなさい、とアリスは手を動かした。



