買い物に出かけている李兎を待っている間、紅葉はバイオリンの手入れをしていた。






「アリスさんのピアノ、凄かったな・・・」






昼間、自分には関係ないと誰も自分を助けてくれなかった中、アリスけは助けてくれた。






「まるで、静さんみたいだった・・・」






ぼーっと懐かしむように目を細め、紅葉は手を動かす。



すると、キィと扉が開く音がした。

李兎が帰ってきたのかとみると、そこには予想外の人物。






「あ、アリスさん!?」



「こんばんは紅葉」






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キィ・・・






「アレ、真っ暗」



「お帰りなさい李兎」






荷物を抱えた李兎の前にはバイオリンを手に持つ紅葉が俯き加減で立っていた。






「ただいま紅葉、なんで電気をつけないのさ」



「待って!!」






電気をつけようと動いた李兎を紅葉が大きめの声で征した。

それに李兎は少し目を見開いてえっと見た。






「そのまま聞いて」



「・・・紅葉?」






何時もと様子の違う彼女に少しばかり戸惑いながらも、話しをきくことにした。