昔から人の気配に敏感なアリス。




しかし、結構長く付き合っているイオンの気配は一度もよめたことがない。






「貴方、仕事は?」




「とっくに終わったよ」





ニッコリと微笑み、空になったカップに新しく紅茶を注いだ。




「そうじゃないわよ。執事としての、よ」





アリスはそういうと紅茶を口に含んだ。






「別にいいだろ?俺達付き合ってるんだし」





耳元で言ったイオンをアリスは本で殴ろうとした。




が、それをヒョイッと軽々とイオンは避けた。






「・・・避けないでよ」





「無茶いうな。角で殴られれば痛いって」




顔をひきつらせるイオンをムゥっと見ていたアリスは、やがて溜息をついてまた本に目をやった。