沢山のいろんなお店を見て回る二人。


「真樹、何がいいわけ?」


「ん〜・・・」




キョロキョロとお店を見る真樹。

決して欲しい物がないというわけではないが、イマイチピンとこないものばかりなのだ。



「何にしよう・・・・・・、ぁ」



視線が止まった。


真樹の先にあるもの・・・それは・・・






「人形?」



神菜も彼女の異変に気づき、その先を見て呟いた。


そう。真樹が視線を止めたものは人形。

市松人形とかではなく、西洋のフランス人形だった。


金色の髪には緩くウェーブがかかっており、パッチリとしたビー玉のような水色の瞳にほんのりと赤みがかった頬。

淡いピンクと白を貴重としたフリフリのワンピースがよく似合っている、とても可愛らしい人形だった。




「お嬢ちゃん、それが気に入ったのかい?」



椅子から話し掛けたのは優しげな面持ちのおばあさん。




「それは孫が大切にしていた人形でねぇ。今は知らないが、買ったときはけっこうな値がしたんだよ」



「へぇ・・・」




おばあさんを見ていた真樹は、またフランス人形を見た。



「・・・可愛い」



「真樹、コレが欲しいのか?」



「Σやっ!別に欲しいとかじゃないし!そんな歳じゃないから」




神菜の言葉に慌てて否定をした真樹。


しかし、やはり欲しいのだろう。

言い終わるとまた人形を見た。



そんな彼女の態度に小さく溜息をはきながら笑うと繋いでいた手を離した。