「春風先生、あなた白石と随分仲いいですね?」
「へっ、白石…ですか?」
白石とは、沙帆のことだ。
白石沙帆(シライシサホ)
アイツのフルネーム。
「あなたは生徒に人気があるんだから…もう少し考えた方がいいんじゃないかしら?」
教頭先生は、
無表情でいった。
「人気って……生徒と仲良くするのはいけないことなんですか?」
「…よくないとは言っていません。ただ、影響を受けるのはあなたではなく、生徒のほうじゃないのでしょうか?」
俺には、教頭先生が言っていることは、難しすぎてわからなかった。
「相手を思うのなら、考えなさい。自分の立場と、周りの目を。」
教頭先生は、そう言い残すと、どこかへ言ってしまった。
「わかんねぇ……」
あとになって、この言葉を痛感することになるなんて、思いもしなかった。
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