君に捧ぐ‥




『さぁ次は午後一発目、借り物競走です!』




ワァー!


いつもは盛り上がらない借り物競走も、運動神経のいい新と凪ちゃんの勝負が見たくて盛り上がっている。




『位置について、よーい…』

パァン!




新と凪ちゃんが、風のようにお題のある机に向かって走る。


そして二人は、ほぼ同時にお題を開いた。




バッ




「?!」



一瞬、二人ともあたしのこと見たのかと思ったんだけど……


新は、凪ちゃんのことをずっと見てる。


凪ちゃんは、チラチラとこっちを見ては気まずそうな顔をしている。




「……?」



すると新が、凪ちゃんになにかを耳打ちした。


その途端、凪ちゃんはあたしのほうへ猛ダッシュしてきた。




「雛、きてくれ!」



「え……えぇ!?」




わけもわからぬまま、凪ちゃんにゴールまで引っ張られていくあたし。



混乱する頭の中で、ただ一つ理解できたことは、凪ちゃんが雛って呼んでくれたこと…。










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