あの天変地異と言っても過言ではないほどの出来事が起きた後、

私と幸太さんは、正式に付き合い始めた。

私はまだ学生だし、幸太さんも社会人1年生なので仕事も忙しいみたいで。

もっぱらデートは朝の散歩と幸太さんの仕事のない週末になった。

里奈には「寂しいでしょう?」なんてからかわれるけど、寂しい事なんてない。

幸太さんはちゃんと私を見てくれているから。

会いたくても、会えなかった1ヶ月を思えば、気持ちが通じた今は、全然幸せだ。

「ホント、さあちゃんはかわいいなぁ」

幸太さんの腕の中で頭に唇を付けて囁かれる。

そう幸太さんは私の事を"さあちゃん"と呼ぶようになった。

"桜"と"さくら"じゃ、同じだからって。

ふふふ…
本当に夢みたい。
幸太さんが私の名前を呼んでくれる。

私は彼の腕の中で幸せを噛みしめた。