「オラ、行くぞ?」


ナツキくんは私の手を顔から引きはがすように強引に握った。


「なっ……ナツキくん、顔真っ赤でハズかしいよ」


通りすがりのひとたちが、私たちのやり取りをチラチラ見ている。


顔、隠したいのに……。ナツキくん、ヒドい……。


「名前に、“モモ”入ってっし、赤くてもいーじゃん?」


「うわ、ヒドい……。今それ言う?」


幼稚園で一緒だったときに、ナツキくんに


果物の『モモ』の発音で呼ばれてて、イヤな思いしてたコトがあったんだ。


それを今さら言うなんてぇー。