車の中は、とてつもなく重い空気。 そして、海が離さない私の手は小刻みに震えていた。 …離して欲しい。 海の彼女に触れた手で、私の手を掴まないで欲しかった。 でも、それじゃあ私が意識してるみたい。 「…痛いから、手離して?」 海に言った。 海は少し私を見て、目を閉じる。 寝たふり!? 信じられない、と反対に目を見開く私。 その時、手の力がふっと緩んだ。 「…離して欲しいのに…。」 「あ?」 「何でもないです。」 頭を振って、否定をしてみる。