カシャンと地面にカッターが落ちる音。
足から力が抜けて、崩れ落ちそうな体を海が支えている。
…すごく痛いのだけど。
驚き過ぎて、声も出ないっぽい。
そして今痛み狂って叫んだら近くにある海の耳がおかしくなるんじゃないか、と感じた。
痛みが走ったのは、心臓ではなかった。
お腹でも足でもない。
…首。
二の腕を痛いくらいに掴まれガッチリと固定されて、首を噛まれた。
まるで子犬がじゃれあうかのように。
でも、痛みは本物。
食いちぎりたいのかと言う程、力を込められた。
「…痛い。」
出来るだけ冷静に静かに言った。
そうすると、海は私の首から離れる。
「俺、毒入りだから。」
…ただの大蛇じゃないって言いたいのか!!



