暗くなっていく窓の外をぼーっと見つめた。

体をギュッと縮めた。

「…海の連れ?」

近くで聞こえた声に、ソファーから跳ね飛んだ。

見ると、青よりの黒い髪の男の人。

私よりも年上に見えた。

「…はい?」

「初めまして、澤田拓也(サワダタクヤ)です。」

自己紹介をされたので、私も自己紹介をする。

「あんたが噂の女か。」

鼻で笑うタクヤさん。

「噂?」

「コロウに気に入られたっつうな。」

また、コロウ?

誰なんだろうか。

コロウって。

…あぁ。

今漢字は思い浮かんだ。

『狐』と『狼』を書いて狐狼と読むんだ。