「なんかね。」

海の耳元で囁いてみる。

昔、繁華街で見たカップルみたいで可笑しく感じた。

「何だよ?」

不機嫌になりつつある海に、笑いかける。

「うぉ、あ。」

海でも私でもない声に驚いてそっちを見ると。

「…京と九条さん。」

「ごめん、今すぐ帰る。」

「えー続けて良いぜ、うーちゃん。」

多分、二人もお墓参りだったらしくバケツと雑巾を持っていた。

つ…続けられるわけが無い!!

あわあわと海の襟足から手を離すと、ずるりと地面に着地する。

「昼飯一緒に行こーぜ、終わったら下で待ち合わせな。」