妹が死んでしまってから私は生きる事に執着した。

上手くいっていたかは、分からないけど。

桜の樹を見ていたら、手首が離された。

海の方を向くと、もう背中がこっちに向いていて私は慌てて後を追う。

どこに行くのかは聞かなかった。

家以外ならどこだって良かったから。

桜並木道をほんの少し歩くと一軒家が見える。

「誰の家?」

「俺らの家。」

何故、俺に『ら』を付けるのかしら?

表札は出されていない。

数段ある階段を上って海の後に着く。

扉が開くと、広い玄関が待ち構えていた。

何も言わずに淡々と部屋の中に入る海。

何がしたいのか、全く分からなかった。