当時は酷いくらい沈んだけど、今は重く捉えてはない。 「…。」 海は何も言わなかった。 そしてまた中トロを私の分まで頼んでくれた。 そうして中トロやたまにイクラを食べて、外に出る。 「ご馳走様でした。」 お辞儀をすると、頭をポンポンと叩かれた。 「後悔しないように、仲間を大事に生きてけ。」 呟くように聞こえたその声は優しくて。 あぁ…やっぱり、九条さんのお父さんだと思った。 「はい。」 答えた私の声を聞くと、身を翻して行ってしまった。