「んなら送る…。」

「良いから!1人で帰るから!」

京の言葉を無視して、私は屋上の扉から校舎の中に入った。

教室に戻って、好奇の目から目を背けてカバンを取って学校を出ようとした。

…何故。

校門を抜けるに抜けられなかった。

目の前に名前は知らないけど、高級車がある。

それを一瞬見た時に、察知すれば良かったんだ。

あの時の車だって。

逃げる前には、手を掴まれて車の中に引きずり込まれた。

「出せ。」

聞き慣れた声と共に車は動いた。

掴まれた手は離されないまま。

私は、固まってちゃんと座り直した。