視界に映る海の顔は、変わらない。 まだ意味が分からないらしい。 「私は遊びのクセに。嘘ばっか。」 「俺が嘘吐いたことあるかよ?」 いつしか聞いた台詞。 「…私ばっかりが好きなのに…。」 視線が落ちていく。 皺になったベッドシーツ。 誰かに思いの丈をぶつけたのは初めてだった気がする。 「…全部か?」 確認するように聞いた海に頷く。 手首が噛まれた。 ギョッとして顔を上げると、もっと強く噛まれる。 甘噛みなんて優しいものじゃなくて。 「痛い痛い!」 キリキリと皮膚を喰いちぎるかの様に。