「おいで。」 そう手招きされてるのは私じゃない。 私は静かにうずくまって…泣いてた。 誰もこっちに気づかなかった。 もう、私なんて。 私なんて──── 「雨、水。」 トントンと肩を叩かれて目を覚ます。 「…は…っ。」 息を止めていたのか、酸素を沢山吸い込む。 薄暗い部屋の中に紅い髪が見える。 「大丈夫?魘されて…泣いていたみたいだけど。」 亜利哀は私の頬に触れて涙か汗かを拭ってくれた。 「大丈夫…。うるさかった?ごめんね。」 「あたしは別に良いの。」