「後ろ、早く乗った方がいい。」 亜利哀の彼氏が口を開く。 あたふたする私は、急いで車の後部座席に乗り込んだ。 「早い。きっと捜索隊が出てるのね。」 この車はフルスモークだから、外からは中が見えない。 亜利哀は楽しそうに外を眺める。 その先には、バイクの光がある。 「俺に勝とうだなんて、三億年早ぇな。」 呟いた亜利哀の彼氏は、鼻で笑ってバイクに並列した。 「どうして三億年なの?」 亜利哀が不思議そうに訪ねると、 「昨日見た宝くじで、当選したら三億だったから。」 …なんだか…。