目が覚めたのは、闇の中。

横を見ても、前を見ても、手元を見ても暗い。



死んでしまったのかと思った。




でも息をしている感触はあった。

「…海?」

自然と口から漏れるのは愛しい人の名前。

海のベッドじゃないみたい。

私は身を倒して、目を閉じた。

寝ても覚めても暗闇の中。

「…あれ、起きた?」

視界に光が差す。

目を開ければ、女の人がいた。

「大丈夫?倒れたって聞いたけど。」

「あ…はい。」

そうだ、砂浜で。

「海、呼ぶから。」

海を知ってる人。