海は隣で目を開けたり閉じたりしている。

寝てる?

と決断し、作戦…というか勇気を奮った。

手をのばして、耳に触れようと思う。

「…なんだ?」

数センチ前で海がこっちを見た。

「え…と。」

「うわっ、降った!」

言い訳やら弁解をしようとする私の声に被る京の大声。

「煩さい。」

九条さんは完全に窓から顔を背けている。

窓の外を見ると、白い粉雪が舞っていた。

「…綺麗。」

「外行こーぜ、外!」

京は完全に犬と化していて、九条さんを引きずり出そうとしている。