過去に平気で人の前でキスをしていたのを見たから、少し構えた。 私の前でやったって、面白くないよ? と心で唱えながら。 「大丈夫?椎名来るよ?」 …エスパー? 「本当だ。」 私は九条さん越しに見える海の姿を捉えた。 「原付の音。」 振り返らず得意そうに笑う九条さん。 「昼からよくこんなに食えるな。」 海は呆れた声を出す。 …実はそれは私に向けられた言葉だった。 あの小皿に乗る肉の量を見ていたから。 黙ってそのお皿を差し出した。 「食わねぇのか?」 「うん。もうお腹いっぱい。」