…ホ…? 観光ホテル? いやいや、ここ街の一角だよ? 口を半開きにして、私は海を見上げた。 海は、何食わぬ顔でこっちを見ている。 私に選ばせてくれるらしい。 「…行く。」 言った途端、なんだか気まずくなって俯く。 返事をせずに、海は私の手を握り歩き出した。 さすが庭だけあって、そういう場所がどこにあるのかも分かるみたい。 いつも歩いている繁華街とは違う気がして殆ど顔をあげないでいた。 海が立ち止まる。 そのまま中に引き込まれた。 世の中の恋人同士は、これが普通なのかもしれない。