海が近くにいる。

「…おはよう。」

声をかけたけれど、反応がないから私は少しだけ笑った。

今日は海とどこか行こうと言っていたけど、諦めよう。

昨日、泣きすぎて疲れた体をゆっくり起こす。

洋服も何もなしに来てしまったから、家に帰ろうと思う。

「海、私一回家に帰るね。」

寝てる海に、何を言っても効かなそうだけど、一応言ってみた。

「…送ってく。」

いつ起きたの!?

ベッドから起きた海は、半分寝ている。

「いいよ、寝てて。」

「行かねぇなら、ここにいろ。」

「いや、洋服をね?」

「どっちだ。」

私が一人で帰るって選択肢は残っていない。