「ゆ…。」 指輪だって、答えようとした。 でも口を噤んで、首を横に振る。 「どうした?」 「何もない。…寒い、帰りたい。」 我が儘だと分かって、私は言う。 「…いいのか?」 「いい。」 海の腕から出ようとしたら、抱き上げられてそのまま靴の所まで来た。 私は黙って靴を履く。 指輪がないと、何かが抜けてしまったみたいになる。 私は誰? 私は本当に私? よく分からない。 理解しえない感情は、好きじゃない。