こんなモノ無ければよかったのに。 そうしたら、お母さんもお父さんも結ばれなかったのに。 …私も生まれなかったのに。 涙が海水と混じる。 もしかしたら、海水って沢山の人の涙から出来ているのかもしれない。 透き通った海水に指輪は見つからない。 もっと向こうかもしれない。 立ち上がり、膝より下まで浸かっている所に行く。 その時、二の腕を後ろから引っ張られた。 「…にしてんだよ!」 怒鳴られた声に体が竦んだ。 一瞬、京が来たのかと思った。 怒鳴られたことがなかったから。 …違う。