九条さんが煙草のケースに手を伸ばす。

その手がケースに行き届く前に、京の手が九条さんの手を掴んだ。

九条さんは、京を睨む。

「…体に良くないじゃん?」

「京もね。」

「ミヤちゃんの肺が真っ黒になったら、俺生きていけない。」

…いやいや。

まずは自分の心配をした方が宜しいかと思いますよ、京さん。

つくづく思う。

本当に京は海と同級生なの?

同じ年にあの学校に入ったなら、頭は悪くないはず。

「…はいはい。」

理解不能な京の理由に、九条さんは肯定してケースから手を離した。