「何が。」 …何がって。 「怒ってるみたいだったから?」 「何に怒るんだよ。」 「…さぁ?」 海自身に分からない事が私に分かる訳がない。 「律儀に挨拶すんの、お前くらいだって言った。」 海はまた前を見て、階段を上る。 慌てて後に続いた。 「え?」 「毎回代わる運転手とかに挨拶すんの、お前くらい。」 さっきの言葉らしい。 納得して、私は一人頷いた。 「…寝ないの?」 私がソファーに座った後自分の部屋から私服で出てきた海は隣に座る。 いつもは、そのまま寝るかソファーで横になっている。