海は嘘は吐かない。
だから、海が“絶対”と言えば絶対。
この世に“絶対”も“永遠”もないけれど。
「でも今日は繁華街行く。」
「いいの?」
「あぁ。」
車が停まる。
私は車から降りて「ありがとうございました。」と言った。
玄関先で立っている海は私を待ってくれたようで…私を見ている。
「…お前くらいだ。」
そして、何かを呟いた。
聞き取れなかったから、耳を寄せて「え?」と聞き返す。
「いや、何でもねぇ。」
と言って、扉を開け中に入ってしまった。
「あ…ごめん。」
何かに怒っているみたいだったから、謝ると海は振り返り不審そうな目で見た。



