校門の前に高級車が停まっている。
私はそれに近づくと、扉が開けて乗り込んだ。
「こんにちは。」
そして、運転をする人にいつものように挨拶をする。
最初の時は助手席に乗っていた海は、私の知らないうちに隣に乗るようになっていた。
「…ども。」
運転する人から、遅れて返ってきた遠慮がちな返事。
「海、今日繁華街の見回り?」
私は聞く。
「多分…何で?」
「繁華街行きたかったけど、いい。九条さん達に連れてってもらう。」
あ、でも九条さん達が溜まり場に来なかったらどうしよう。
言ってしまった後だし、いいやと思った。
「誰が一緒に行かねぇっつったんだよ。」
耳に黒い石を光らせて、海はこっちを向いた。



