耳に、黒い石が見えた。 少しだけ顔が綻ぶ。 海は自分の部屋の扉を開けて、私をベッドに落とした。 当然の如くソファーよりベッドの方が心地良い。 私はウトウトしかけた自分を叩き起こして、隣に寝転ぶ海を見上げる。 「嫌な夢、見たの。」 「…。」 「本当に何回も見る。」 海は黙って、私の肩を引き寄せた。 「…ネロ。」 …パトラッシュ? あのアニメの事!?と少し思ったものの、よく考えてみると「寝ろ」と言ったのがわかる。 私は、何も言わずに海の胸へすり寄った。