『黒の獅子』の総長の茨は、どことなく海に似てる。 例えば…この怒った感じなんかが。 「「…そこ正座。」」 総長同士の声が重なる。 亜利哀は重く溜め息をついて、壁に寄りかかり黙った。 …もう止められないらしい。 そして、助けてはくれないらしい。 「…はい。」 地べたに正座はしないものの、少し縮こまった。 茨が前に来る。 「雨水ちゃん、良い?」 優しい低い声を出して、私を諭す。