夜の星に手を伸ばしてみた。

その手は、ただの生暖かい空気を掴んだだけ。

現実はとてつもなく残酷で。

「……寂しい。」

声に出してもどうにもならない感情。

ポケットに入っていた指輪を取り出した。

真っ暗な夜空に浮かぶ満月にそれをかざす。

夜空は独りじゃない。

月や星が夜空を飾っているのだから。

…海は独りじゃない。

月の九条さんや。

星の京がいる。