友達の家に泊まりにいった事がない私は、とてつもなく浮かれた。
家に帰らない。
そんな満足感で一杯になっている。
…そして。
心の中で、はしゃぎ過ぎた私は途中からの記憶がない。
確か誰かが…海が聞いたのは覚えている。
「上行って寝るか?」
その問いに私は、頷いた気もする。
首を横に振った気もする。
…兎に角。
目を開けると静かで真っ暗で。
一瞬、自分の家に帰ったのかと思った。
でも違う。
すぐ傍に暖かさがある。
私は調子よくソレにすり寄った。
目が暗闇に慣れて、最初に見えたのが。
ゴールドのチェーン。



