その次に鳩尾に痛みが走った。

私の呻き声が聞こえる。

「ざけてんな。てめぇが椎名さんと一緒に歩いてんの見てんだよ。」

「だから、椎名さんって…っ。」

言葉は続かなかった。

私の言葉を阻止するみたいに鳩尾や背中を蹴られた。

今時のオシャレな女の子はなんで、先の尖った靴を履いてるんだろう?

蹴られながら、段々感覚が無くなって他人事のように思えた。

「そのふざけた事聞く口、閉めてあげる。」

紅い炎があった。

…綺麗。

煙草の炎だったけれど。

「…別にいい。」

私は誰にも聞こえない声で呟いた。

ここで死んでしまったって構わない。

一度落とし損ねた命なのだから。