怪訝な顔をする海は
「あぁ?」
と脅すように、声を低くした。
それが少し怖かったから素直に答える。
「9月30日。」
「…そうか。」
誕生日聞いて“そうか”って。
海らしい。
「あのね。」
苦笑しながら、海の方を向く。
そこには、綺麗な顔の目を閉じた海がいた。
寝てる?
私は口を閉じる。
いつも、溜まり場に行くとすぐ部屋に入って寝ていた。
今日も眠かったのかもしれない。
でも、私が質問攻めをしたから眠れなかったのかも。
申し訳ない気持ちになった。
“あのね。聞いて、海。私が生まれたその日、全然雨なんて降ってなかったんだよ。
夏は終わったのにすごく暑くてね。
だから、雨が降るように私に願掛けをして“雨水”なんて名前にしたんだって。
でも、その日。
雨なんて一滴も降らなかったんだって。
迷惑だよね。
…私ね…。”



