あまりにも暑いから、私達は中に入って、扉に寄りかかった。

九条さんは足を投げ出すように座る。

「…あたしの親はね男が欲しかったのよ。
でも、生まれてしまったのは女だった。」

私は隣の九条さんの耳を見た。

ピアスの穴が空いている。

九条さんは、懐かしむような声で。

私に自分の生い立ちを話してくれた。