京は、背中も正面も隠すように横に並ぶ言葉を言う。

「会った。」

私はきっぱりと言った。

でも、そんな三人とも私は正面から見たいと思った。

海の真っ直ぐさも。

九条さんの斜めさも。

京の横並びさも。

「明日は終業式ね。」

九条さんは、太陽を見上げた。

確かに明後日からは夏休みになる。

青空には雲一つない。

「…あたし、17年間にここら辺で育ったの。
親は本当は、男が欲しかったんだって。」

悲しそうな顔をした九条さんの顔。

…私はその顔に、涙を流してしまいそうになった。